「量子力学の技術」で非常に難解な技術の「量子テレポート」について、「世界一わかりやすい」解説を目指してお話ししようと思います。
「量子テレポート」は「量子もつれ」と言う不思議な性質を利用して実現されます。
初めて耳にする用語もあるかもしれませんが、「量子テレポート」には未来の夢とロマンがたくさん詰まっています。
夢とロマンがたくさん詰まった「量子テレポート」の世界をお楽しみください。
量子テレポートとは?
SFなどで物体がテレポートされるシーンがありますね。
物体が一瞬のうちに遠く離れた場所に送られるやつです。
でも残念ながら、量子テレポートは物体を送る技術ではありません。
量子テレポートとは、瞬時に、安全に、離れた場所に情報を伝達する技術です。

量子テレポートには、「量子もつれ」と言う量子の不思議な性質を利用します。
量子もつれとは、二つの量子が「もつれた関係」になっていて、一つの量子の持つ情報が確定すると、瞬時に、もう一つの量子にその情報が伝わると言う性質です。
送信者側と受信者側が、この量子もつれの関係にある量子を一つずつ持って、情報を送るのが量子テレポートです。
量子テレポートは準備が重要
さて、お互いに量子もつれの量子を一つずつ持ったら、さっそく量子テレポートをやってみよう。
そう言いたいところですが、残念ながら、量子テレポートはそれほど簡単にはできません。
色々と準備が必要なんです。
まず、送信したい情報が記憶された量子を用意します。
これはPCで言うUSBメモリだと思ってください。
ただ、USBメモリのように簡単に情報を記憶させる訳にはいきません。
「量子ゲート」と言う方法を使って、量子に送信したい情報を書き込みます。
送信したい情報を書き込んだら、次は送信の準備をします。
送信の準備をしよう
USBメモリに入った情報を送信する場合は、USBメモリをPCに差し込んで情報を読み取って、メールなどで送信しますね。
量子テレポートの場合は、先ほど準備した情報が書き込まれた量子から、量子もつれ状態の量子に情報を移して送信します。
USBメモリのように、差し込む訳にはいきません。
そこで「ベル測定」と言う方法を使います。
ベル測定を行うと、量子もつれ状態の量子に、別の量子から情報を転写することができます。
その性質を利用して、送信したい情報が書き込まれた量子から、送信者が持っている量子もつれ状態の量子に送信したい情報を転写します。
送信者の量子もつれ状態の量子に書き込まれた情報は、受信者の持つ量子もつれの対になったもう一つの量子に送信されます。

最後に、送信者はベル測定の測定結果を記録します。
ここまでで、やっと準備が完了します。
量子テレポートの本番はここから
送信者は量子もつれの性質を利用して、受信者に向けて情報を送信しました。
しかし、量子テレポートの本番はここからです。
送信者が送信をしたら、次は受信者が受信をしないといけないのです。
量子テレポートは、メッセンジャーアプリのように送信者が情報送信したら、自動的に受信者に通知が来る訳ではありません。
送信者は送信が完了したら、受信者に通知しなければなりません。
この通知は、メールなどの従来の古典的な方法で行います。
通知する内容は、先ほどのベル測定の測定結果です。
なぜベル測定の測定結果を通知する必要があるのか?
受信者が持つ量子もつれの量子から情報を受信するために、ベル測定の結果が必要になるのです。
受信者側は、ベル測定の測定結果に従って、情報の受信作業を行います。
これによって、量子もつれを利用した量子テレポートの作業が完了します。

つまり、量子テレポートで情報を受信する前に、古典的なメールなどの方法で、ベル測定の結果を受信すると言うプロセスが絶対に必要になります。
量子テレポートの意味があるのか?
量子テレポートで「情報を受信する前」に、メールなどの古典的な方法で情報を受信するのであれば、そもそもメールで情報を受信すればよいと考える人も多いと思います。
しかし、量子テレポートには様々な可能性があります。
まず、その秘匿性です。
量子テレポートで通信された内容は、量子もつれ状態の量子を持つ者同士しか知り得ません。
この点は、盗聴が不可能な通信手段として期待されています。
現在のように、幾重にもセキュリティーを施す必要もなく、はじめから高度な秘匿性が担保されるのです。
さらに、量子テレポートで送信する情報は量子ビットと言われる単位で送信されます。
この量子ビットは、これまでのデータ構造とは異なり、一回の通信で大量の情報を送ることが可能になるかもしれません。
もし、現在のネットワークで、送受信に3時間かかるデータがあったとします。
これに対して、量子テレポートで例え準備に1時間かかったとしても、送受信が一瞬で終わればそれだけ高速化されたと言えます。
量子ビットの扱いには、まだまだ多くの可能性があります。
将来的には、高い安全性と速度を持った大容量通信が可能になる日が来るかもしれません。
それはとても夢が広がる未来だと思いませんか?
いつ実用化されるのか?
この夢のある量子テレポートですが、残念ながらまだまだ実用化には時間がかかりそうです。
そもそも量子もつれの関係性は、永続的ではありません。
何らかの切欠で簡単に量子もつれの関係は解消されてしまいます。
また、量子テレポートは、ベル測定の結果を古典的な通信方法で送信する必要があります。
そのため、量子テレポート用のインフラと古典的なインフラの両方を整えなければなりません。
これらの条件が完璧に整って、誰もが気軽に量子テレポートで通信できるようになるのです。
現在は、実用化の目途が立っていない状態ですが、何かのブレイクスルーで一気に実用化されることも十分あり得ます。
この文章を読んで、あなたがそんな日を想像しながら、毎日をワクワクして過ごしてもらえれば幸いです。
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