昔、フランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスは、こう考えました。
「もし宇宙のすべてを知っている存在がいたら、その存在は過去も未来もすべてを予測できるだろう」
この「すべてを知っている存在」を「ラプラスの悪魔」と呼びます。
この悪魔は、宇宙のすべての出来事を知っているので、未来に何が起こるかをすべて予測できる、という考え方です。
ラプラスが生きていた時代の科学では、宇宙はまるで巨大な機械のように、決まったルールに従って動いていると考えられていました。
このルールさえ知れば、未来に何が起こるかも予測できると信じられていたのです。
しかし、20世紀に入ると「量子力学」という新しい考え方が登場しました。
量子力学は、非常に小さな世界、たとえば原子やその中の小さな粒子がどのように動くかを説明する理論です。
この小さな世界では不思議なことに、物事が決まったルール通りには動きません。
ルールではなく、確率で動くのです。
つまり、未来がどうなるかを完全に予測することはできない世界なのです。
量子力学では、粒子がどこにいるのか、どのように動くのかを完全に知ることはできません。
これは「不確定性原理」と呼ばれています。
粒子の位置や速さを同時に正確に知ることができないのです。
このため、未来の出来事を完全に予測することは不可能です。
また、「シュレディンガーの猫」という例え話もあります。
これは、箱の中に入れられた猫が、生きているか死んでいるかが決まっていない状態にあるというものです。
この話は、未来がどうなるかを完全に予測することの難しさを示しています。
ラプラスの悪魔の考え方では、「すべてを知れば、未来もすべて予測できる」とされていました。
しかし、量子力学が示すように、実際の世界はそんなに単純ではありません。
私たちは、物事がどうなるかを完全には知ることができず、未来には「予測できない部分」が常に残っているのです。
この不確実性が、現実の宇宙の本質的な特徴です。
この「予測できない部分」がある事は、非常にラッキーなことです。
なぜなら、「予測できない部分」は、私たちにとっての「可能性の広がり」を示しているからです。
未来が完全に決まっていないからこそ、私たち一人ひとりには無限の可能性が開かれているのです。
この不確実性こそが、私たちの人生に自由と選択の余地をもたらしていると考えることができます。
この不確実性を恐れる必要はありません。
むしろそれを受け入れ、活用することが大切です。
不確実性があるから人生は面白いのです。
未来がどうなるかは完全に予測できませんが、その分、私たちは自分の意思と行動によって未来を形作ることができるのです。
量子力学が示すように、未来は一つに決まっているわけではなく、私たちの選択と行動によってさまざまに変わり得るものです。
この考え方は「自分の人生を創造する力が自分の中にある」という信念につながります。
未来がどうなるかを100%予測することはできません。
だからこそ、私たちは今この瞬間にできる最善の選択をし、自分の望む未来に向かって歩んでいくことが大切です。
この「不確実性」は、可能性が無限に広がっていることを意味しています。
自分の信念や行動次第で、その未来を豊かに実現できるチャンスがあると捉えることができます。
未来は予測できないからこそ、私たちには無限の選択肢があります。
その一つ一つが人生の道を開いてくれます。
不確実性は恐れるべきものではなく、むしろ私たちに与えられた贈り物です。
それを受け入れ、自分の可能性を信じ、行動することで、望む未来を自分の手で創り上げることができるのです。