ポリコレゲームのコンコードと若草物語

啓蒙のスタイルの違い

「プレイステーションの未来」。
2024年8月24日に発売され、二週間でサービス終了したゲーム「Concord(コンコード)」は、開発関係者の間でそう呼ばれていたそうです。

時は遡り、1869年に当時の女性の生き方に衝撃を与える小説が発表されました。
それが「若草物語(オルコット)」です。
「若草物語」は150年以上たった現代でも、多くの人に親しまれています。
たった二週間で世界から「ノー」と突き付けられた「Concord(コンコード)」と何が違うのでしょうか?

それは多様性を啓蒙するスタイルの違いです。
それらをどのように表現するかが成功の鍵となります。
「Concord(コンコード)」と「若草物語」は、どちらもポリコレ多様性フェミニズムに関連するテーマを扱っていますが、そのアプローチには大きな違いがあります。

ポリコレやフェミニズムの思想

まず、ポリコレフェミニズムの思想自体は否定されるべきではありません。
これらは社会の平等と多様性を促進するために必要なものであり、特にこれまで疎外されてきた人々にとって重要な概念です。
しかし、その表現が無理に押し付けられると、かえって反発を招くことがあります。
これは「Concord(コンコード)」に対する批判に表れています。

『Concord(コンコード)』のアプローチ

「Concord(コンコード)」は、キャラクターデザインや設定にポリコレ思想を取り入れましたが、多くのプレイヤーはこれを「無理やり」だと感じ、ゲームの楽しさが損なわれたと批判しました。
特定の価値観を強調しすぎると、他のプレイヤー層との共感が得られにくく、結果としてゲーム自体の評価にも悪影響を及ぼします。
多様性を推進することは重要ですが、それがプレイヤーにとって「押し付け」と感じられる場合、逆効果となるリスクがあります。

若草物語のあらすじと多様性

一方、ルイーザ・メイ・オルコットの『若草物語』は、4人の姉妹の個性や多様な生き方を通じて、自然にフェミニズムや多様性を描きます。
メグは伝統的な家庭生活を選び、ジョーは独立を目指す作家としての道を歩み、ベスは内向的で家庭の支えとなり、エイミーは芸術家として成功を目指します。
それぞれが異なる価値観や生き方を持ちながらも、すべてが尊重されているという点がこの作品の懐の深さです。

ナチュラルな啓蒙のアプローチ

オルコットの手法は、何かを強制することなく、多様な生き方を自然に認めるものでした。
彼女の作品では、誰もが自分の道を選ぶことができ、それが他者に押し付けられることはありません。
このナチュラルなアプローチが、現代でも共感を呼び、ポリコレフェミニズムを押し付けがましくなく啓蒙する理想的な方法といえるでしょう。

理想的な多様性の啓蒙とは

理想的な多様性の啓蒙は、オルコットが示したように、無理に一つの「正しい」生き方を押し付けるのではなく、自然に異なる価値観や選択を尊重することです。
それぞれの個性や生き方が認められる環境こそが、真の多様性を実現する鍵となります。
無理な押し付けではなく、自然と共感できる形で多様性を伝えることが、社会の平等を推進するための理想的なアプローチです。

願わくば、今後のゲームやアニメ、映画などでは、行き過ぎたポリコレ思想の押し付けではなく、もっと自然体での啓蒙を実現してほしいと思っています。
これは、いちゲームファン、いちアニメファンの心からの願いです。

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