大切な人と時間を共にしながら祝うクリスマスは、世界中の人々の心をあたため、経験を共有する大切なイベントです。
その記憶は、長い歴史の流れの中でどのように形成されてきたのでしょうか?
今回は、クリスマスとサンタクロースにまつわる歴史をひもときます。
クリスマスの起源—人々を結ぶ大切な秘訣
クリスマスの起源は、ローマ時代の「冬至祭」にさかのぼります。
特に、ローマ帝国では「無敵の太陽」を称す「ソル・インウィクトゥス」を祝う日として、冬至に現在の12月25日が記念されていました。
クリスチャンの広まりにともない、この日はイエス・キリストの誕生を祝う日として定着していきます。
サンタクロースの記憶に残る人物、聖ニコラウス
サンタクロースのモデルとなったのは、4世紀に小アジア(現在のトルコ)で活躍した司教、聖ニコラウスです。
彼は特に子どもたちや貧しい人々に対する慈善活動で知られていました。
代表的なエピソードの一つに、貧しい家庭の3人の娘が結婚の持参金を持てず困窮していた際、ニコラウスが夜中にこっそりと家に金貨を投げ入れたという話があります。
この金貨が靴下に落ちたことから、クリスマスに靴下を飾る風習が生まれたと言われています。
聖ニコラウスの伝説は中世ヨーロッパで広まり、12月6日の「聖ニコラウスの日」として祝われるようになりました。
この祝祭はやがてクリスマスと結びつき、現在のサンタクロースの原型となっていきました。
サンタクロースの現代的イメージの誕生
現在の赤い服を着た陽気なサンタクロースのイメージは、19世紀のアメリカで形成されました。
- 1823年: 詩『サンタクロースがやってくる(The Night Before Christmas)』が発表され、トナカイに引かれたソリに乗り、煙突から家に入ってプレゼントを置いていくサンタの姿が描かれました。
- 1860年代: イラストレーターのトーマス・ナストが雑誌『ハーパーズ・ウィークリー』で赤い服を着たサンタクロースを描き、このイメージが広く定着しました。
- 1930年代: コカ・コーラの広告キャンペーンで描かれたサンタクロースが世界中で有名になり、現在の「赤い服に白いひげの太ったサンタクロース」のイメージが決定的なものとなりました。
サンタクロースとフィンランドのラップランド
フィンランドのラップランド地方には、サンタクロースの公式な故郷として知られる「サンタクロース村」があります。
この村は第二次世界大戦後に建設され、現在では世界中から観光客が訪れる人気スポットとなっています。
サンタクロース村では、サンタと直接会えるほか、クリスマスの魔法を感じられる多くのアクティビティが用意されています。
そのため、家族連れや子どもたちにとって特別な場所となっています。
まとめ
クリスマスとサンタクロースの歴史は、長い時を経て多くの文化や地域の影響を受けながら形作られてきました。
その中には、聖ニコラウスのような実在の人物にまつわる感動的な物語から、商業的に広がった現代的なイメージまで、さまざまな要素が含まれています。
こうした歴史を知ることで、クリスマスの特別な意味をより深く理解し、より豊かな祝祭の時間を過ごすことができるでしょう。